これからも “街の本屋” のあり方を提案し続ける!  うさぎや株式会社 笹沼敬史常務取締役 インタビュー 

栃木県を中心に、TSUTAYAなどの複合書店を展開しているうさぎや株式会社。 今回は常務取締役の笹沼敬史さんにインタビューさせていただきました

うさぎや株式会社の沿革って教えていただけますか

現在父が社長をやっていて、創業自体は曽祖父が立ち上げて父で3代目になります。

創業は1920年なので今年で99年目。そして2020年8月で創業100年になります。

創業当時は紙の卸しや生活雑貨の販売をしていたようですが、小中学校の教科書をおさめる権利をとって、そこから本を扱うようになり、街の本屋として文房具なども扱うようになっていったっていう歴史があります。

創業は喜連川町(現在のさくら市)で、喜連川小学校のすぐ目の前で小さな本屋をやっていたんですよ。

父の代になって「ただ街の本屋として終わりたくない!」って想いが強かったのもあって、フランチャイズを始めたばかりのTSUTAYAを知って、すぐさまTSUTAYAのフランチャイズの契約をして、1988年に1号店を矢板に出した経緯があります。

そこから他店舗化してきた感じです。

 

通常だと書店の多店舗化は難しいんですよ!

なぜかというと、本の販売だけだと、利益率が低いから。

そこで、高粗利なものはないのかな、マージンミックスできないかな、と思っていたところで高粗利のCD・VHSのレンタルがバッチリ合うなと思ったカンがあったから今の展開に繋がっていった。

店舗の出店には色々と資金が必要になるけど、レンタルだと商品の仕入れが必要ない仕組みになっているので他店舗化はしやすかったみたいですね。

でも実は本って再販もできるし、返品もできるんですよ! だから本屋って定価がどこでも一緒ではあるんですが。

でも粗利は低いから自分の土地でやってるからこそ家賃は発生しないし、やってこれた商売だったんじゃないかなとは思います。

うさぎやとしてTSUTAYAの初出店が1988年で、翌年1989年の1月7日に当時の昭和天皇様がお亡くなりになりました。その当時TVが天皇死去の報道番組しかやっていなくて、そのときに、「なんでもいいから貸してくれ〜」って感じで一気にお客さんが来て世の中にビデオやCDレンタルが広まっていったっていう社会的背景(タイミング)も大きく影響があったと思います。

そして、TSUTAYAのフランチャイズ化初期の頃に始めたから拡大もしやすかったんだと思いますね。

 

今展開されているビジネスってどういったものになるのでしょうか 

事業としては、TSUTAYAの店舗経営が主で、レンタル・本/文具雑貨の販売・DVDブルーレイ/CDレンタル(販売)・ゲーム販売が基本です。

タリーズコーヒーのFC店舗事業は、現在は100%子会社化していますが、元々はうさぎやの一つの事業として飲食事業部として運営していました。

タリーズをやりたいというよりはブック&カフェをやりたいという想いで事業を始めました。

 

今だと当たり前だけど、当時はそんなに多くなくて、父がアメリカに行ってシアトルとか書店を視察で見たときに当たり前に本屋にカフェが併設されていて、「是非やりたい!」と感じて。

それまでは日本では本屋の中にタリーズっていう形態がなくてうさぎやがはじめてやった。それが2004年です。

あとはTポイントの代理店事業(2011年)ですね。

2013年には飲食事業とTポイント事業を子会社化してきた感じで展開しています。

 

会社で挑戦していることってありますか 

2018年9月からスクールIE個別指導塾を始めました。

現在は清原にあるTSUTAYA宇都宮テクノ店の店舗内にある一店舗のみの運営ですが、今後はもっと拡大をしていきたいです。

既存のTSUTAYA店舗を利用しても良いし、別の立地で展開しても良いし。

あくまで書店から始まっているから、「本を中心に何ができるのか?」と考え続けていますね。

 

 

 

では笹沼さん個人で結構ですので、面白い笑っちゃうような逸話ってあったら教えいただけませんか 

人生グダグダだから大学にも浪人して入ったし、長い期間大学にも在学してて、結局最後は退学したし 笑 そのあと30歳前までフリーターでプラップラしてましたからね。

20代最初くらい迄は「地元に帰ってきて継ぎたいな。」って思ってましたけど、都内でいろんな価値観のいろんな人に会ってみたら自分の価値観や行動も変わり続けてきてしまって。

物心ついたときには両親は働きまくってたし、自分は迷いもなく生活してきたし、反抗期もなく生活してきたから。だから東京行った20歳くらいを過ぎてから反抗期がきた感じかも知れませんね。

 

でも大学でも色んなアルバイトはしてきましたよ!

TSUTAYAのアルバイトもやったし、居酒屋もやったし、クロネコもやったし、引っ越しもやってたし、日雇いもやったし。

お金がなくなったらすぐ日雇いやっていたり 笑

実は人が好きなんですよ、ほんとに。

 

でも自分は夢も見つけられずだったから、それこそ東京のおっきな本屋にずっとちょこちょこ勉強しに行って。

そんな中で、自分のやりたいこと・好きなことって考えるとやっぱり本屋にいるのが好きだったから父に頭を下げて帰ってきて今があります。

 

よく父から、「お前の人生10年遅れてるよ。」って言われます 笑

自分が納得しないと決断出来ないし、そこまでに時間かかるから遅れてる様に見られるのかなっては思いますね。

 

 

 

なるほど、では個人的な趣味や好きなことってなんですか 

基本趣味がないから彼女出来ないんじゃないかと思いますが。。。笑

でも趣味というと映画を観たり・本読んだりが趣味ですね。

 

(どういう映画とか本が好きなんですか)

映画だったらハリウッドとか興行収入はいくらみたいなのは好きではなくて、小説もそうですけど、個人的で人を描いてるものが好きです。

 

(では一つあげるとしたらでオススメの映画と本教えてもらえませんか)

映画:リリーシュシュのすべて

中学生くらいの多感な時期の中学生の葛藤だったり、いじめとか売春みたいなことがあったり。単純に個人的に好きなだけなんですけれどもね。

やりきれない、ぶつけどころのない苦しみとかがすごくよく描かれているんですよ!

監督が岩井俊二さんな所も好きなポイントです。

 

本:(一番じゃないかもしれないけれども)長嶋有さんの猛スピードで母は ですね。

本を読んでるだけなんだけれど、そこに描かれている風景や空気感とか温度とかが感じられる作品だから。

母子家庭のお母さんと息子の話なんだけど、本当に普通の話なんだけど、その光景が抜群に鮮明且つ、場面場面が印象的でリアルに感じられる作品です。

 

最後に、読者の方々へメッセージ頂けますでしょうか 

4月20・21日(予定)に本のフェスを企画して普段うさぎやでは扱ってない様な、小さな一人でやっているような人や出版社さんや古書店屋さんに声をかけて、本と出会ってもらう場を作ろうと思って動いています!

そこでしか表現出来ない世界観ってのを出します。

今回が初めてですが、是非ご都合よろしかったらバンバ広場でやるので遊びにきてください!

 

完全うさぎやプロデュースで、UTSUNOMIYA BOOK LIGHTSというイベントになります。

あまり知られていない様ですが、4月23日がサンジョルディーの日という日で、大切な人に本を贈る日なので、その日に送りたくなるような本に出逢える場にしたいなと思うんです。

本を扱うので、雨天中止ですが、「優雅でいいよな」って思っていただける風景を作りますから。

“外でフラっと読むのもかっこよくない?”みたいなもので大人から子供まで来れるようなイベントに出来たらなって思ってます。

ですので、ご期待ください!

—ありがとうございました!またよろしくお願い致します—

 

うさぎや株式会社

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